Amazonによる不法行為【別表1番号16及び18】Amazon自らが英国Harrods(ハロッズ)の知的財産権を侵害していた[原告第31準備書面より一部抜粋]

ブランドレジストリーを運用するAmazonによる知的財産権侵害

Amazonは、「乙46のブランド一覧において、番号16の「HARRODS」はブランドレジストリーへの「登録あり」と記載していたが、原告第28準備書面15頁の指摘も踏まえ再度調査したところ、ブランドレジストリーに登録されている「HARRODS」ブランドは、英国の百貨店ではなく、化粧品等を製造するHarrods Global Private Health Ltd社(http://www.harrodsglobal.com参照)のブランドであることが判明したため、乙46の訂正版を乙59として提出する。」と主張し(被告準備書面(10)の脚注1)、乙59を提出した。そこでは、ブランドIDが594603に変更され、「ブランドレジストリーへの登録の有無」については「登録なし」に変更されている。

原告が多くの時間とコストをかけ、Amazonの不法行為を暴いた結果であり、一個人にすぎない原告の照会に対し、真摯に対応して真実を述べてくれたハロッズ社には感謝しかない。

ハロッズ社は2010年にカタール政府のSWF(ソブリン・ウェルス・ファンド)に15億ポンドで売却された超高級百貨店であり、Harrodsのグループ企業(Harrods Estates、Harrods Interior Design、Harrods Aviation)には、インドの小さな地方都市Ambala(人口207,934人-2011年調査)に拠点を置くHarrods Global Private Health Ltd.なるものが存在しない。【資料2】

【資料2】

原告がHarrods Global Private Health Ltd.について調査したところ、インド商業登記簿の閲覧から2019年5月2日に設立された会社として存在するが、同社がサイト上で使用する「Harrods」のロゴに商標登録済みであることを示す®マークを入れた商標に関し、原告調査において英国にも日本にも同社による「HARRODS」あるいは「Harrods」の商標登録が存在しないことが判明した。

Amazonは、出品者がAmazonに利益をもたらすAmazonお墨付きのIPアクセラレーター提携事務所を使えば商標登録出願中でもブランドレジストリーが可能であるとしていることから、商標登録のないHarrods Global Private Health Ltd.のブランドレジストリーを認めたものである。そのため、本件ストアにおいて真の商標権者がブランドレジストリーを試みると既に登録済みであると却下され、ブランドレジストリー出品者から許可を貰えと主張するが、その当該ブランドレジストリー出品者を開示しないため連絡すらできないという深刻な問題が生じている(原告第20準備書面の20-24頁)。商標出願が却下されるようなブランド名でも、本件ストアにおいて登録がなされていなければ認めている事実から(原告第22準備書面5-11頁)、ラクジュアリーブランド「HARRODS」のブランドレジストリーを、商標登録申請履歴すらない第三者に認めていたことになる。つまり、Amazonは「商標権者とは無関係の第三者が他人の商標を登録して使用できるようなシステム」(被告準備書面(10)の8頁)を運用しているといえる

ブランドレジストリーが認められれば、本件ストアでは全区分に跨り有効となるため、Harrods Global Private Health Ltd.は化粧品製造会社であるが、真の商標権者であるハロッズ社が販売する人気のバッグやぬいぐるみなども販売可能となる。また、本件ストア内でブランドオーナーが許諾していることを証明する認可証またはライセンス契約書を与えれば、その登録ブランドを販売できるとすることから、ブランド(ここではHarrods Global Private Health Ltd.のことを指す)からの許可があるとして真の商標権者であるハロッズ社の偽ブランドも販売可能となる。

Amazonはブランドレジストリー出品者に「権利侵害申告を簡易・迅速に行うための専用のオンラインフォーム」を提供し(被告準備書面(10)8頁)、「相乗りされてもブランドレジストリの管理画面から対処できるのでお試しあれ。偽物として処断(原文ママ)」(甲149)など、簡単に「偽造品」として排除できる私法行使の権利を与え、侵害したとされる出品者に対し、早ければ1時間以内にアカウント停止などのペナルティーが課されるツールを提供(甲161の5頁「6.使いやすい侵害通報ツール」)。価格競争を阻害し、自由競争基盤を侵害した(原告第12準備書面33-34頁)。

ブランドレジストリーには商標登録されたブランドを守るという大義名分はなく、本件ストアでIPアクセラレーターを活用し、先行登録したブランドレジストリー出品者の独占販売を認める販売ツールに過ぎない。

このような第三者によるブランドレジストリーについて、別表1番号11の「Miffy」(日本語の商標登録は「ミッフィー」)の商標権者であるMercis BVもアマゾンでの登録については認識しておらず、登録できるように連絡しても良いと言ってくれており(原告第28準備書面17頁)、Miffyのブランドオーナーであるとするブランドレジストリー出品者も無関係な第三者による登録であることは明らかである。

なお、原告が本書面を提出する当日にセラーフォーラムをチェックしていたところ、1)商標登録は審査中でまだ取得完了していないにもかかわらず、2)屋号と顔写真を入れて印刷したパッケージで「ブランド登録した」出品者が、3)メイン画像の商品(他ブランド)を販売したい業者が相乗りしたため、4)知的財産侵害フォームから相乗り業者を違反報告(「①相乗り業者の商品はサブ画像と違うパッケージの可能性が高いので、偽造品です」)との運用を行っている【資料3】。このケースの場合、おそらくメイン画像の商品は中国ブランドと想像するが、原告の競合「XXXXXXXXXXXXXXXX」同様、オリジナルパッケージでブランド商品をノーブランド品としてカタログ独占販売していた、同様のブランドレジストリーが可能となっていることを付言する。

【資料3】2025年3月19日 セラーフォーラム

PDF:ページ1-6を参照

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