Royal StyleのAmazonでのこれまでの歴史と、どうしてAmazonがRoyal Styleのような小さなショップに対し懲罰行為を行うのか

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大使館を退職した後、2013年6月からAmazon.co.jpで英国やヨーロッパで見つけた素敵な商品の販売を始めました。

Amazon.co.jpでは長年にわたり、クオリティーの高い商品と上質なサービス(Royal Styleではブランドから直接購入したロゴ入りリボンでラッピングするなど)で大きな顧客ベースを築きました。

Royal StyleはAmazonブランドレジストリーに登録した出品者ではないため、具体的にどのくらいのお客様がRoyal Styleからリピート購入頂くか不明であるものの、それでもリピート購入について触れられており、喜んでいるとの好意的なレビューの数々、頂いたメッセージ(ショップの新商品の登録を楽しみにしています!)などから、多くの顧客に支えられていることを実感した。事実、よくお客様からAmazonのRoyal Styleのショップで購入したいので、このような商品を出品してほしいとリクエストを受けていた。Amazonで販売する商品は出品するとすぐに売れたため、売れなくて困るという問題は起こらなかった。実際問題として、Royal Styleのような小さなショップでもAmazonの売上はかなり大きいものでした。

Royal Styleからは何も求めていませんが、Amazonでの売上をサポートするというコンサルタントが付きました。調べたところ、どの出品者にも担当者なる人物が付くわけではなく、Amazonが選んだ出品者であるとのことでした。しかし、コンサルタントはしばしばAmazon内で使用できるポイントをAmazonから購入し、他の商品にも使用できるこのポイントを顧客に付与することを勧めるため、あまり役に立たないことを実感しました。

Royal Styleは一部出品者がAmazon IPアクセラレータを通し、商標登録した屋号(ショップ名)をAmazonブランドレジストリーに登録していることを知りました。Amazonでは、商品がプライベートブランドでない限り、ショップ名を商品タイトルや商品説明に入れることは、Amazon内での検索において圧倒的に優位になるため、禁止されていることが出品者規約に記載されていますが、Amazonブランドレジストリーに登録した『ブランド』はこの禁止事項から除外されていました。結果、こういったショップは有名ブランドの商品に、ショップのロゴを入れたポケットティッシュ、おしぼり、メッセージカードなどのおまけを付けて販売していました。Royal Styleが取り扱う商品と同じブランドを扱う競合ショップも、例外ではありません。競合ショップはAmazonブランドレジストリーに登録し、有名ブランドの商品にインターネットで簡単に手に入るラッピング資材を使用しただけのラッピングをショップのオリジナルラッピングとし、販売を独占できるカタログを作成していました。このラッピングを付けることで、Amazonでの独占販売を目的に、販売するすべての有名ブランドをショップオリジナルとしていました。このショップは出品者情報に「※競合店の皆様へ 当店のオリジナルラッピング済みの商品カタログに相乗りや商品情報の変更をしないようにお願いいたします。購入者様を保護する為、ご協力をお願い致します」という警告まで記載していました。Royal Styleではこのショップがオリジナルラッピングとするラッピングと同じものが用意可能であるため、ショップ名が商品タイトルや商品説明に入っていなければ相乗りが可能であるため、このようなショップの行為は購入者を守る目的などではなく、価格維持を目的とした商品カタログの独占にすぎないものです。実際、ブランドレジストリーに登録した出品者の商品はAmazonによってしっかりと守られているため、カタログを書き換えようにも(商品タイトルや商品説明から出品者名を消すなど)、カタログ変更には権限が必要とされる。こういうことが許されるなら、価格競争もなく、ありとあらゆるブランドがショップのオリジナル商品として販売できることになります。

それに対し、ブランドレジストリーに登録していないRoyal Styleでは、ラッピング用にブランドから直接高価なロゴ入りリボンを購入していました(例えば、Harrodsからはリボン10mにつき£20で購入していました)。お客様に喜んで頂けたらと商品におまけとして付けていたブランドリボンでのラッピングという表示ですが、ブランドリボンなしで出品したい他の出品者により、ブランドリボンでのラッピングという記載が簡単に削除できるようになっていました。Royal StyleはAmazonに苦情を申し立てましたが、Amazonに『ブランド』として登録されているなら他のどのブランドよりも優先され、何ら問題ないとの判断でした。また、ブランドレジストリーに登録した出品者であれば、1つの商品カタログ内でショップが販売している他の商品も数多く販売できるA⁺コンテンツというものが利用できるようになっていました。Amazonで自らのショップを開業するのと同じです。これなら他でショップを開設しなくてもよいわけです。Royal Styleは同じAmazonで販売するショップとして不公平だと思いましたが、どうにもしようがありません。長年にわたり累計3000点以上の商品を登録しましたが、Amazonだけで販売していることに不安を感じました。

2021年7月にShopify(ルイヴィトン、テスラ、ネットフリックスなど有名企業が利用するカナダのEコマース・プラットフォーム)、8月にはメルカリShopsにRoyal Styleのショップをオープンさせました。

これらのショップからお買い上げ下さるお客様も増えました。というのも、「素敵な商品を有難うございます。主にAmazonで購入していました」というメールを頂いたりしたためです。Royal Styleでは、Amazonの販売手数料が15%、メルカリShopsが10%と、メルカリShopsの方が安いですが、AmazonとメルカリShopsの価格はどちらも同じ価格にするようにしていました。しかし、Shopifyでの場合、合計7000円以上お買い上げ頂かないと送料600円をお支払い頂くことになるため、商品価格を600円安く販売していました。

メルカリShopsではビジネスセラーに対し、一定期間、販売手数料0%にしてくれることなどもあったため、そんな時にはお客様への還元を目的に600円分安くしていたりしました。そうすると、インターネット上ではShopifyのRoyal Styleの商品価格も含め、最安値になりました。

2022年9月23日以降、Amazonからは次々とポリシー違反が警告され、2023年1月からはAmazonの倉庫に納めている商品を販売する以外、Amazonでの販売が不可能となりました。

Royal Styleに代わり、AmazonはRoyal Styleが販売していた商品を、ロシア軍装備品を販売するロシア人出品者に販売させていました。例えば、2023年5月、Royal StyleがAmazonに登録し販売していたFortnum&Masonのティータイマーが、大ヒットドラマ「あなたがしてくれなくても」の小道具として使われました。この商品はRoyal Styleでは4280円で販売し、飛ぶように売れましたが、4880円で販売していたAmazonでは、『並行輸入品』として販売することは出品規約で認められており、今まで問題なく販売していたにもかかわらず、並行輸入品でもブランドからの販売許可証が必要であるとし、販売できなくなりました。にもかかわらず、AmazonはRoyal Styleが作成した並行輸入品のカタログで、ロシア人出品者に対し、日本のお客様にイギリスから約2週間でお届けするという法外な値段(8280円)での販売を許可していました。

どうしてAmazonからポリシー違反の警告が次々と届くのか、公益の目的で公開されたFTC(連邦取引委員会)の訴状から明るみになりました。Royal StyleはAmazonの懲罰行為の対象となっており、結果Amazonで販売できないようにさせられていました。訴状には以下のような記載がありました。

Amazon は、出品者が Amazon で販売している商品と同じ商品を他のオンライン上で安く販売しているのを検知した場合、Amazon は出品者に懲罰を与える。ライバル企業が消費者に安い商品を提供したり、出品者が低価格商品を提供したりして、シェアを奪われないようにするためである。(p.8, 11-13)

他のオンラインサイトで安く販売されているのを検知しようものなら、そのようなことをした出品者は究極の脅しに直面する。それはつまり、(ショッピングカートが表示される)おすすめ出品に選ばれないだけではなく、Amazon のマーケットプレイスからの永久追放である。 Amazon が内部的に認めているとおり、このような戦略は『懲罰的側面』を持つものであり、多くの出品者が常に懲罰を恐れながら販売している。(p.9, 7-10)

加えて、Amazon による出品者に対するワンツーパンチの強打(でノックダウン)する懲罰と出品者に課す高い手数料は、その吊り上げられた Amazon 価格を出品者が他で販売する価格と同一にすることを強要する。結果、Amazon の行為は Amazon 以外のオンラインショップで購入する消費者にも不当に高い価格を提供するものとなる。(p.9, 11-14)

Amazon の様々な反割引戦略は、一般的な公平にやりとりされる競争において苛烈な影響を与える。安価な手数料でマーケットプレイスを提供するライバル企業でさえ出品者を惹きつけることに苦労し、出品者が Amazon からのペナルティを恐れるあまり、そこで出店している商品の価格が吊り上げられるのを見守るしかない。多くの出品者が Amazon の懲罰を恐れ、価格を上げる。その他の出品者は、Amazon からの報復を恐れるあまり、他で販売する価格を事前に高く設定した上、もとより決して値下げしない。中には Amazon による制裁の可能性を危惧し、Amazon 以外での販売を止める、あるいは一切始めないという出品者もいる。(p.11, 3-9)

さらに、Amazon の反割引スキームが、低い手数料を徴収するライバル企業のオンラインストアで低い価格で販売する出品者に懲罰を与えることにより、多くの出品者が高い手数料を徴収する Amazonでの販売価格をインターネットで販売するすべての商品価格に適用する。(p.78, 4-7)

Amazon は Amazon 以外、たとえどこであれ安い価格で販売する出品者に懲罰を与え、Amazon の価格を下げさせるライバル企業を律することで実在する価格競争を容赦なく抑圧する。(p.85, 16-18)

価格監視チームを利用することで、Amazon は他のオンラインストアで低い価格を提供するサードパーティー・マーケットプレイス出品者に懲罰を与える。(p.85, 21-22)

低い価格を通じて消費者や出品者を惹きつけることができなければ、ライバル企業は Amazon との競争に最低限必要である消費者と出品者の両者、どちらをも得られない。更に、Amazon より安い価格が出現しようものならその出品者に懲罰を与え、価格で競争を試みるライバル企業を律することで、Amazon は Amazon 以外の安い価格を探さないよう消費者を躾ける。(p.86, 11-15)

広範囲にわたる監視ネットワークを通し、Amazon は出品者が他のオンラインストアで安い価格で販売していることを検知すれば、Amazon は片っ端から出品者に懲罰を与える。Amazon は二つの方法での懲罰を与える。一つは出品者が Amazon での販売価格より安い価格で他のオンラインストアで販売していた場合、その出品者の商品を(ショッピン グカートが表示される)おすすめ出品から外すことで懲罰を与える。多くの出品者にとって、ショッピングカートを失うこと、あるいはおすすめ出品に該当する商品はありませんと非表示にされることは、出品者のビジネスにとって死活問題となる。Amazon には多くの消費者が訪れ、膨大な顧客を有すことから、Amazon は多くの出品者にとってなくてはならない販売チャネルとなっている。二つ目に Amazon が出品者に対して行う懲罰は、特定の重要な販売者に対し、Amazon のマーケットプレイスからの永久追放を含む、より強力な脅しともいえる契約義務を課すものである。(p.87, 14-23)

Amazon による脅しと懲罰の結果、出品者に対し、Amazon のマーケットプレイスより安い手数料を徴収するライバル企業でさえ、安い価格で消費者を惹きつけることができなくなる。(p.88, 1-3)

今では、Amazon は出品者に対し、Amazon が他のどこのオンラインストアであろうと安い価格を検知しようものなら、懲罰を与えると公言する。例えば 2022 年、Amazon は何千もの出品者に対し、『ショッピングカートを獲得』する『必須条件』は絶対に Amazon 以外で安い価格を提供しないことを担保せよと説明している。(p.90, 15-18)

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